読書メモ 『スローリーディングの実践』

ワードでまとめている読書メモから、気になった個所と感想を書きたいと思います。

平野啓一郎さんは小説家ですので、評論より小説の読み方の解説が中心です。

 

PHP新書 2006年 平野啓一郎

①本はゆっくり読んで、文章を堪能する。書き手の仕掛けや工夫を見落とさないこと!速読に憧れて浅い読みになり、読み違いを起こしているのにもかかわらず、読んだ事実だけを自慢するようになってはいけない。

②常に何故の視点で読む。突然、何故この人?何故この場面?何故このタイミング?何故このセリフ?言い換えれば、何故これじゃないといけないのか?作者の意図をくもう!

③比較する。昔の小説なら、現代と比較する。同じ作者の作品を比較する。比較して、何が同じなのか、何が異なっているのかに注目する。比較することによって、作品のテーマがはっきりしてくる。

 

あとは、感情をの踊り場を大切に、辞書を引く癖をつける、リズムを取るのが難しい音読よりテンポのいい黙読を勧めるといったテクニックの話がありました。

タイトル通り、この人の主張は、読書は何が何でもスローリーディング!です。新聞や評論もゆっくり読むべきだと説いています。「読んだ」事実ではなく「読む」行為に重点を置いているのです。

出版されたのが2006年。平野さんは、スローフードにちなんで、ゆっくり読むことをスローリーディングと名付けたそうです。社会のスピード化に反発が生じるようになっていたのは、もっと前からでしょうが、速読はいったいいつから登場したのだろうか。

読んでいて思い出したのだが、中学の教員で、速読を勧めていた人がいた。といっても具体的なテクニックはあまり教えてくれなくて、「とにかく速く読め」としか教えてくれなかった。これでは、速読が身につくはずもなく、周りで速読マスターになった人は一人もいなかった。

じゃあ僕は、速読に反対なのかというと、そもそも速読が出来ないので反対する資格がないのだ。昔TVのニュースで、速読少女が紹介されたのを覚えている。少女が物凄い勢いで本を読み、もう一人が時間をかけて普通に読む。読み終わったら、内容がどれくらい頭に入っているのかをテストするのだが、少女の正答率はかなり高かったと思う。これがもし、ヤラせではなくて、事実ならば、とても魅力的だ。

しかし、当然僕も小説は速読するものではないと考えている。平野さんは、小説家だから、小説中心にスローリーディングの良さを解説しているのだが、情報収集を目的で小説読むなんて少ないだろうから、当然っちゃ当然だ。それとも、当時は小説の速読も流行っていたのだろうか?

この本は、ゆっくり読む小説を、更にゆっくり読むことを説いた本だ。深く豊かに・・・。カフカの『橋』を実際にスローリーディングして、解説する個所がある。橋とは結局なんだったのか・・・。ひたすら考え抜こうとする姿勢には驚愕だ。興味があったら、ぜひ読んでくだせぇ。

おわり

 

本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)

本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP新書)